日本は、第2次世界大戦で生産の拠点の多くが破壊され多くの人が飢えに苦しんでいた状況から、戦後は目覚ましい復興や成長を遂げ、1960年代の高度経済成長を経て世界第2位の経済大国になり、2010年頃に中国に追い抜かれるまで第2位を保っていました。
私が財務省で働いていた2000年代の頃、当時の財務省の幹部の方々と話をすると、多くの方が「昔の日本はこんなに良かった。今は中国に負けていてしまって残念だ」といった、過去の成功体験から抜け出せない発想をする方が少なくないことに驚きました。
日本経済がかつて大きな成功をとげ、昔を懐かしむ気持ちわかります。ただ、「昔は良かった」的な発想で過去の成功体験にとらわれてしまうと、新しい時代に見合うような発想に転換することは難しいです。
実際、「失われた10年(あるいは、20年、30年)」と言われ始めた1990年代以降の日本の問題の多くは、過去に機能したやり方を変えられなかったために生じたものであるケースが多いです。
例えば、現在行われているマクロ経済政策(金融緩和をしたり円安に誘導するということ)は、過去の日本であれば効果のあった政策なのかもしれませんが、残念ながら今はそうでは無いのです。
では私たち個々人はどうしたら良いのでしょうか。
難しい問いですが、ひとつだけ言える事は、問題解決のための第一歩は、私たちが日本の経済や政策についての正しい理解を持つことです。
そうでなければ、時の政権や政府が主導権を取ってしまいます。残念ながら政府が行う政策が常に優れているという保証は何もなく、最後にツケを払うのは国民です。
かつて日本の政策決定機関に身を置いた者として、私がブログやFacebookライブやメルマガなどで発信するコンテンツが読者の皆さんの正しい理解のために役に立つことを望むばかりです。