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「差別の裏にあるもの」(2020年6月配信)
日本のメディアでも話題になっていると思いますが、アメリカ・ミネソタ州の白人警官による黒人男性の死亡によって、世界的に反人種差別運動が盛り上がっています。先日も、Facebookが差別やヘイト表現に対してきちんと対策を打っていないと言うことで、スターバックスやコカ・コーラなど多くのアメリカの大企業がFacebookへの広告を出すのを一時的に凍結すると発表しました。
私は、こうした差別の裏側にあるものの1つは、人々の価値観や働き方の違いだと思っています。
アメリカでは、人口を経済力別に分けたときに、低所得層に属する人の多くが黒人です。そして、黒人の人たちは高校を中退する割合も白人に比べて高いです(アメリカでは高校までが義務教育)。高学歴エリート層から見ると、そういった人たちは働かず勉強もせず「刹那的」に生きていてあまり社会的価値を生み出していないと映り、それが差別につながる1つの原因だと思います。
日本や欧米の先進国では、働いてお金を稼ぎ生産性を高めるというのは普通の価値観で当たり前のことですが、すべての人はがそういうわけではありません。働いて地位を得てお金を稼ぐよりも、家族や伝統やコミュニティーとのつながりを大切にする価値観で生きている人も世界を見ると大勢います。
先進国の特にエリート層の人は、自分たちと異なる価値観のを持つ国の人に対して、怠け者で前近代的だとの批判的に見たり偏見を持つこともありますが、それはすなわち人種差別になります。
例えば、ヨルダンに在住する欧米人をはじめとした先進国の人でも、ヨルダン人やアラブ人に対してそういった偏見を持つ人がいます。残念ながら、ヨルダンに滞在する日本人でもそういった見方をする人がいます。
ヨルダンの人は先進国ほどには高い生産性や経済成長を実現させてはいませんが、家族を中心としたコミュニティーの中で信仰深く幸せに生きている人が多く、それは素晴らしいことだと思います。
異なる価値観を認めること。
口で言うほど易しいことではありませんが、そうすることで、差別も少なくなり、幸せに生きられる人が少しでも増えると思います。
それでは!
「K氏に学ぶ、とてつもない人脈力」(2020年7月配信)
私がIMF日本理事室で働いていた時、上司であたったIMF理事(K氏、としておきます)は、日本でも世界中でも、とてつもない人脈を持っていました。
K氏は日本人で、財務省から出向してIMF理事と言う形で働いていました。IMF理事というのは、会社で言う取締役のようなもので、IMFでの重要な意思決定に関与します。
K氏の人脈は幅広く、総理大臣経験者、天皇家の料理長、元フランス大統領候補、世界的なピアニストやバレリーナ、世界各国の大臣クラスからもいましたし、旅先で知り合ったヘッジファンドマネージャー、タクシー運転手など、とにかく色々な方と交友を持っていました。
では、K氏はどのように人脈を築いたのでしょうか。
1.人生を楽しむこと
私はK氏に、「どうしてそんなに人脈が広いのですか」と聞いたことがありました。K氏の答えは、「とにかく人生を思いっきり楽しむこと」とのことでした。確かに、K氏はとても趣味が広く、ゴルフに行ったりテニスをしたり釣りをしたり、旅行も大好きで、南米のチリに行ったときにはレンタカーを借りてチリを縦断していました。当時K氏は60歳位でしたが、タフでいろんなことをされていました。
2.投資をすること。
K氏は九州の資産家の息子さんで(家業は弟さんが継いでいたのですが)、人脈を作るためにかなりの投資をしていました。お金も時間もをかけて、人脈のために投資していました。ワインが趣味だったので高価なワインでホームパーティーを開いておもてなしをしたり。K氏の奥様は料理がプロ並みだったので、K氏は、ワインとお料理とゲストの顔ぶれとで、それは素晴らしいパーティーをしていたものです。
3.会話の引き出しが多いこと
とにかく、話題豊富な人でした。私はK氏の部下で独身女子だったので、ディナーやパーティーの席に空きが出ると「今日、レストランで〇〇氏とのディナーがあるから、一緒に来てよ!」などと招集がかかり、よく同席したものです(費用はK氏のポケットマネーから出ていたので、喜んで参加しました)。ですので、K氏がどのように話題を日々構築し、それを披露していたのかを観察することができました。
K氏自身が、日本でバリバリ活躍されたいた頃も含めても色々な経験をされていて、特にグローバル金融に専門性が高く、相手を圧倒させる話題は沢山ありました。ただ、K氏が素晴らしいのは、それでも謙虚になって、常に情報収集していたことです。レストランの給仕さん、旅先でのタクシードライバー、エチオピアからの移民労働者、など、とにかく、知り合った色んな人と話をして情報収集していました。
また、収集した情報をプレゼンするのも上手かったです。例えば、私がロシア人の同僚から仕入れたきたゴシップを、K氏はあたかも自分が得た一次情報であるかのように披露できたので、「プレゼンって大切だな」と私は思ったものです。
K氏は今は日本にいて、20社くらいの社外取締役を兼任していて、今でも第一線でバリバリ活躍されています。役人の退職後と言うと、「天下り」として問題になったりしますが、K氏ほどの実力と人脈がある場合、役所が天下り先を斡旋する必要は全くないのです。