医療システムと経済のお話し:医療とコロナ感染と経済

アメリカでは、残念ながら医療システムがコロナ感染や経済を悪化させてしまいました。日本では誰もが高度医療サービスにアクセスできますが、いずれは私たちがコストを払わなければならないということをご存知でしたか?

先日発表されたアメリカの今年(2020年)4-6月の経済が32%(年率、実質)も落ち込み、戦後最大規模の落ち込みでした。経済活動の3分の1がこの期間に失われてしまい、倒産する会社や、職を失う人や給与が減ってしまう人なども多数いました。

YouTubeビデオで、経済成長率ニュースの見方についてお話し、併せて、アメリカの2020年4-6月の経済についてもお話ししてますので、是非ご覧ください。)

アメリカは世界一の経済大国ですが、コロナ感染者は400万人を超え、今(2020年8月6日時点)も拡大し続けています。残念ながら、アメリカでのコロナ感染者に占める死者数の割合も世界でトップレベルです。

そんなアメリカでは、経済活動もコロナ感染拡大によって大きく落ち込み、特に今年の4-6月の頃は多くの店舗が閉鎖されたり学校や勤務がオンラインになったりしました。

世界一お金持ちであらゆる技術が発達しているアメリカで、なぜここまでコロナ感染者や死者が増えるのでしょうか。

その背景には、アメリカの貧富の差や医療システムがあります。

アメリカでは、お金がある人は最高の医療サービスを受けることができます。しかし、先進国の中でほぼ唯一「国民皆保険」が整備されておらず、公的医療保険は、メディケアと呼ばれる高齢者向けの保険や、メディケイドと呼ばれる貧困層向けのもののみです。

アメリカで働いている世代のほとんどの人は、職場から提供される医療保険や、自分で購入する医療保険に頼っています。

低所得者や失業者の多くが医療保険を持っていなかったり、1000万人超いると言われている不法移民(合法的なビザ無しで滞在する外国人)の多くが医療保険を持っていないという状況です。

そんな中で、医療にアクセスできない人が多いことが、今回のアメリカの感染拡大をもたらし、ひいては経済にも大きな打撃を与えています。

アメリカの医療については、こちらのブログ記事に書きましたので、併せてご覧ください。

その点、日本は国民皆保険が整備され、仮に職を失っても公的医療保険が保証されています。

とは言え、日本の場合は、少子高齢化が進み、国の医療費負担が増え続け、高齢者への国からの医療費の支払いが国の財政を圧迫しています。日本経済が低成長(ないしマイナス成長)と言う状況で政府の財政支出が膨らむと、日本の政府の借金が益々増え、いずれは私たちや子供世代が負担を強いられることになります。

別の機会に、国の財政から見た日本の医療についてお話しします。