下の子供が生まれたときに第一子が直面するチャレンジに、親としてどう対応するか

このシリーズでは出生順が子供の発達や人格形成に及ぼす影響について書いています。前回のブログ記事では、第一子にとってのメリットやチャレンジ、親ができることについてお話ししました。

さて、第2子、つまりその第一子にとっての弟や妹が生まれたとき、親の愛情や関心が下の子に移ってしまいます。これは、特に年齢差が小さい妹や弟が生まれたときには第一子にとってはとてもつらい経験になってしまい、心理学でも「Dethronement」(王座を奪われる)という用語があるくらいです。

親にとっては、「第一子と既に多くの時間を費やしてきて、今まで親や祖父母の愛情を一心に受けてきたので、もう充分なことをしたのではないか」、とか「今までのように100%とはいかなくても親が子供に費やせる時間の何割かは費やしているのでそれで充分ではないか」と思いがちです。

しかし、幼い子供が親の立場を理解するのは容易ではありません。

そこで、第一子は多くの場合、産まれたての弟や妹に嫉妬して親の気を引こうとします。「赤ちゃん返り」という現象も、その一環です。

実は、この時の嫉妬や悲しみの感情が解決されずにいると、成長してからもそういった感情をひきずり人格形成にも関わってしまうことがあります。

その結果、周囲の大人の気を引こうとしたり、家族を支配しようとすることもあります。

そこで、親はどうしたら良いでしょうか。

まず、第一子の嫉妬や悲しみの感情を認め、否定しないことです(第一子が明かな「赤ちゃん返り」をしているのを親が叱ってしまうと、子供にとっては感情を否定されたという気持ちになってしまうこともあります)。そして、「ママに見てほしい」と言った感情や要望を言葉にすることを教えることです。その上で、新生児は手がかかることを説明し、なるべく第一子とだけの時間を作ることも大切です(本を読むとかスキンシップをとるといったシンプルなことでも、子供にとっては嬉しいものです)。

とはいえ、第2子が生まれたての時は、親は本当に忙しいです。完璧にできなくても自分を責めないで下さい。親が感情的になってしまったら、事後的に第一子に謝ったり状況を説明するといったことで挽回することもできます。

なお、第2子が生まれたころには「とにかく第一子を優先しましょう」というアドバイスを私は日本人の年配の女性から受けたことがありますし、そういったアドバイスが(少なくとも日本で)多くなされている印象を持っています。

私は、その「第一子優先」というアドバイスは、第一子の気持ちをおもんばかってのことだとは思いますが、後々問題になる可能性もあると考えています。「第一子を優先」というのを貫きすぎてしまうと、第一子が自分が最優先されていると思ってしまい弟や妹を見下したり、「ママ・パパは産まれたての弟や妹の面倒も見なければならない」という他者のニーズや立場を考えるようになるという学習機会を逃してしまう可能性もあるのではないでしょうか。

いずれにせよ、多感な第一子の感情に親が寄り添うことが重要であることには違いありません。

次の記事では、第2子(あるいは末っ子)の立場を考えてみたいと思います。