自分にとって好ましくない状況に直面して、つい相手に対して怒ってしまうという経験は、誰もが持っていると思います。
では、どういう思考のメカニズムが働いて私たちは怒るという行為を取り、どんな帰結をもたらすでしょうか。
私が今月開催している子育てグループ・コンサルテーションで、先週第一回のセッションを行い、「怒る」ということについてお話しました。
例えば、子供が他の子供や妹・弟を叩いてしまって、その叩いた子供の親が「何やってるの!」などと怒るというのは、よくあることです。
まず、私たちは、どういった時に、相手(特に、子供やパートナーなど身近な人)に対して怒って感情的に叱ってしまうのでしょうか。
一つ目は、私達が「こうあるべきだ」考えていることと異なることを、相手が言ったり行動したりする時です。そういうときに、「相手が悪い!」、「それは、けしからん!」と考えて、相手に対して怒ってしまいます。
二つ目は、私たちが自分自身をうまくコントロールできていない時、私たちは怒りやすくなります。
では、怒ってしまうという行為の何が問題なのでしょうか。
まず、相手の気持ちを傷つけることになります。自分の子供や部下など、私たちをより必要とする立場の人に怒ってしまう場合は、尚更です。
子供が親から頭ごなしに怒鳴れたという経験は、非常にトラウマになることがあります。私たち大人だって、上司などから怒鳴られたら非常に傷つけられます。
更に、怒るということは、相手に対して「お前は悪い」というレッテルを貼ることになりますので、どうしても相手の自己肯定感が低くなります。
恒常的に叱られ続けると、叱られた側は、叱った人に対して自分の意見をきちんと言いにくい環境になります。
そして、もし感情的に任せて怒鳴ってしまうようなことをすると、「 私はどうしてあんなことしてしまったのだろう」とその怒った側は自身を後で責めて自己肯定感が低くなることもあります。
それでも私たちがつい怒ってしまうのは、即効性があるように見える、つまり、すぐに効果を発揮するように見えるからです。親の言う通りにしない子供に対して怒鳴ってしまうと、その場でその子供が抵抗を止めてピタッと静かになる、ということです。
しかし、怒るというのは、怒られた側にも怒った側にも禍根を残す行為です。「相手怒って自分の目的を達成する」という行為は、特に子供やパートナーなど身近な人であればより一層そうなります。
したがって、怒るというのは非常に時間割引率が高い行為、つまり、将来的に手に入れられる報酬を犠牲にして現時点で得られる報酬を選ぶという刹那的な行為です。
では、自分にとって好ましくない状況に直面した時に怒らないようにするには、どうしたら良いでしょうかについて、次回の記事でお話しします。