この記事は、レジリエンスを高めるシリーズの第3回目、最終回です。第1回、第2回も併せてお読みください。
この記事では、レジリエンスを高めるためチャンスは身近にあるのだということ、子供には自分のレジリエンスを高めるための自分だけのでスケジュールがあるのでそれを尊重しましょう、というお話をします。
1.身近にある、レジリエンスを高めためのチャンス
今年(2020年)の3月から世界的にコロナ感染が拡大して、多くの子どもにとっては学校が休みになって、友達にも会えず、あまり出かけられず、家にいなければいけないことが多かったと思います。
このプロセスは、実は子どものレジリエンスを高める機会にもなりました。例えば、私の場合は、ヨルダンにいて、3月からずっと子供の学校が休みになり、子供は基本的に家にいなければなりませんでした。魅力的な遊具がある遊び場に行けるわけでもなく、友達と遊べるわけでもなく、新しいおもちゃなどを買えるわけでもなく、我が家ではテレビは1日30分程度に制限しているのでテレビ番組が見えないわけでもなく、子供は家にいました。
家にいなければいけないという制約のなかで、子供はどういう反応をしたでしょうか。子供はその範囲内で遊ぼう、楽しもう、自分の幸せの度合いを高めようと工夫し、想像力を駆使しなければなりませんでした。その過程で、子供なりのレジリエンスが高まったと思います。
また、親にとっても同じことだったと思います。学校がいくら素晴らしくても、やはり子供にとっては(とくに子供が小さいうちは)親が一番の先生です。ですので、親が子供に合う環境を整えたり子供を導くことで、子供は大きく成長しレジリエンスを高められます。
例えば、私にとっては、子供をずっと家に見るのはこれが初めての経験ではありませんでした。去年、アメリカからヨルダンに家族で引っ越してきて数か月後、長男が学校に合わず、しばらく学校休んだり、そのうち全く学校に行かなくなりました。最初は無理に行かようとしていましたが、子供があまりにも嫌がるので、これは理由があるのだろうと思い、私と長男とは家にいました。
そこで私は、学校に行かなくても子供に刺激を与えられるような場を作ること、子供が安心して成長できる家庭にすることを模索しました。長男がどのような個性を持っていてどのように成長できるのかを観察し試行錯誤し、親としての学びの機会が得られました。そして、その過程で、子供と共に、新しい国でレジリエンスを高めることができました。
身近なところでレジリエンスを高める機会といえば、自然の中で過ごすということがあります。自然の中で過ごすと、我々大人でも、気持ちが大きくなってクヨクヨ考えていたことを忘れられたり、大自然の厳しさに触れて新進とも強くなったりするものです。
子供の頃に自然と親しむことの恩恵は計り知れなく、散歩や公園遊びなど身近なところで良いので、自然は楽しいものだという気持ちを持てることは、一生の財産になります。もし長時間の野外活動や野外でのスポーツ、キャンプなどを楽しんでできれば、その効果は一層高まります。
2.子供のスケジュールを尊重すること
もう一つは、子供には、自分自身のレジリエンスを高めるための自分だけのスケジュールがあるということです。親はある程度それに介入できるとしても、基本的には子供は自分のスケジュールに従うでしょう。ですので、私たちにできることは、子供を信じて子供はいつかきっとレジリエンスを高められると考えることです。
焦って、子供のレジリエンスを高めようとして、子供をスパルタ式のスポーツクラブに通わせてる必要はあるでしょうか。もちろん、スポーツなどを通じてレジリエンスを高められた子供は沢山いて、あなたのお子さんがスポーツを通じてレジリエンスを高められるのであれば、それは素晴らしいです。しかし、そうではないかもしれません。お子さんが、親を喜ばせようとか、子供が義務感でスポーツなどをして、一見強そうに見えても、実はどこかで無理をしているのかもしれません。
子供にはそれぞれ個性があって、スポーツでレジリエンスを高められるかもしれませんし、音楽や芸術活動を通じて高められるかもしれませんし、また、学校などで友人や先生との関係の中で高められるかもしれません。親が出来ることは、お子さんが自分の方法を既に見つけられていたら、それを応援し、まだ見つけられないとしても、気長に見守る姿勢だと思います。
レジリエンスを高めるためにどうすれば良いかというビジネス書や自己啓発書は山ほどあります。つまり、多くの大人も、自分自身のレジリエンスを高めるプロセスにいるのです。
お子さんのレジリエンスを高めるための種をまいておいて、お子さんが大人になった時にレジリエンスを高められれば、それは親として充分なことをしたと言えるのではないでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました。このシリーズが、お子さまのレジリエンスを高めることを考えるきっかけになると、嬉しい限りです。