教育のオンライン化が社会や経済全体にどのようなインパクトを与えるのでしょうか。
アフガニスタンの経済と教育
先日、私は、ヨルダンに在住する日本人の子供たち(小学校4年生)に、経済やお金の話について教えてきました。
ちょうど、小学校4年生の国語の教科書で、「ランドセルは海をこえて」という、アフガニスタンに日本の子供のランドセル古くなったランドセルを届けるという話があったので、国語を学びつつ、経済についても子供達と話し合ってきました。
その話は、アフガニスタンの貧しい子供たちが、日本の子供が必要なくなったお古のランドセルをもらい、勉強に励むようになり、子供を学校に生かせないような家庭も、他の子供のランドセルを見て自分の子供も学校に行かせるようになった、という話でした。
今日のクラスで、子供たちと、アフガニスタンの経済を良くして人々が豊かになるにはどうすればいいかについて、話し合ってみました。
子供たちはクリエイティブな意見を持っていて、紛争をやめればいいとか、もっと色々なものを作れば良いとか、活発な議論になりました。
ある子供は、「日本人がもっとランドセルをアフガニスタンに届けて、アフガニスタンの子供が学校で勉強するようになると、もっと多くのものを作って経済が大きくなる」と言いました。
実は、その子供の言うことはまさにツボを得ていて、「人的資本(ヒューマンキャピタル)」という考えに通じるのです。
経済を発展させるもの
経済を発展させる3大要素は人口、資本、技術であると言われており、人口がある程度以上あるというのは、経済成長に必要な要素の一つです。それでも、単に人口が多ければ良いのではなく、教育のある人が多くいれば、より経済が発展するようになります。
戦後の日本が発展した要因も正にそれでして、第2次大戦直後の日本には7千万人の人口がいて、しかも日本人の教育水準は当時も非常に高かったのです。それが、石油などの天然資源がなくても経済を大きく発達させた力の一つでした。
例えば、バングラデシュには1億人以上の人口がいますが、残念ながら教育が行き届いてないため、衣類製造といった軽工業が中心になってしまい、それ以上の経済発展に不可欠な重工業やハイテクへの移行が出来ないでいるのです。
教育のオンライン化と経済
コロナ感染で世界的に学校が閉鎖されても、オンラインやテクノロジーのおかげて、子供達が自宅で学習できるようになりました。
他方、教育のオンライン化がなかなか進まなかったり家庭によって遅れがある場合、経済の観点から心配になるのは、人的資本の問題です。
家庭環境が良くないなどオンライン教育がうまくいかないような場合、人的資本がどうしても形成されず、経済全体に影響を与えます。仮にワクチンが開発され普及するようになっても、この「人的資本の蓄積の遅れ」というのは取り戻すのは難しいのです。
それで、残念ながら、コロナで教育が滞って人的資本がきちんと蓄積されない国では、コロナ感染拡大の経済への影響は、数年かそれ以上に渡ってしまうと考えられています。