ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同創始者で、マイクロソフトの元CEOビルゲイツの妻であるメリンダ・ゲイツは、同財団の486億ドルの資産額を運用し、世界で最も影響力のある女性の一人でもあります。
ちなみに、私がビル・ゲイツを評価するポイントの一つは、メリンダ・ゲイツを配偶者として選んだことです。彼と同世代の多くの大富豪がそうしてきたように、彼ほどの富や名声があればトップクラスのモデルといった「お飾り」のトロフィー・ワイフと結婚することもできたのですが、ビル・ゲイツは有能なビジネスパーソンだったメリンダ・ゲイツを配偶者に選びました。
財団設立以来、メリンダ・ゲイツは特にアフリカなどの途上国の恵まれない立場の女性を支援することに尽力してきました。
彼女の著書「The Moment of Lift(邦訳:「いま、翔び立つとき~女性をエンパワーすれば世界が変わる」)の中で、 彼女と ビルゲイツとの家庭内役割分担や女性のロールモデルについて面白いことを書いています。
彼女はビル・ゲイツの間に三人の子ども(二人の娘と一人の息子)がいますが、「Nobody leaves the kitchen until mom leaves the kitchen(ママ(=メリンダ・ゲイツ)が夕食後に台所を去るまでは誰も台所を去ってはいけない。つまり、ママが台所で夕食の後片付けをしているのを皆で手伝う)」というルールを家庭で徹底していたそうです。
日本やアメリカを含む多くの国では、食後の後片付けは女性が担うことが圧倒的に多いです。ところが、ゲイツ家では、ママの家事労働に価値を置き、皆でそれを分担するとしたのです。彼らの娘にとっても息子にとっても、とても良いロールモデルを示していたと思います。
また、ゲイツ夫妻の子供が小さかった頃に自宅から車で40分離れたプリスクールに通わせていた時、メリンダへの負担を軽減するために、週に3回くらいはビル・ゲイツが子供を車で送っていたそうです。なお、そのプリスクールでは、その後子供を送迎する父親が増えたそうです。「ビルゲイツも子供を連れてきている」と妻から聞いた夫たちが大いに刺激を受けたのだとか。
世界的に影響力のあるメリンダ・ゲイツが自分自身の経験から、家庭の中で出来る女性のエンパワーメントやステレオタイプの打破について話していたのはとても興味深かったです。
今も根強く残っている女性へのステレオタイプや、家事労働を女性だけが担うという慣習は、ぜひとも今の世代で終わらせて、次世代には残したくないものです。