あなたは何番目に生まれましたか?
きょうだい間に関する色々なジンクス(「長男長女はこんなおっとりした性格」、「末っ子は甘えん坊」、「末っ子は負けず嫌いで競争心が強い」など)は数多くあります。
こういったジンクスはある程度当たっていることもありますが、そうではないケースも多々あり、なかには、その真逆になってしまうこともあります。
実は、きょうだい間の出生順やきょうだい間の嫉妬といったことは古来から人類と共に歩んできた問題といっても過言ではなく、文学作品や歴史でも多く見られます。旧約聖書でも、父親ヤコブからの愛情を受けたヨセフが兄たちに嫉妬され殺害されか、ヨセフはその後エジプトの宰相になる、という話があります。
親にとって子育てについての悩みの常にトップに来るのは、きょうだい間のことです。例えば、2人目が生まれたばかりの頃の上の子の赤ちゃん返り、きょうだい喧嘩、 きょうだい間の妬み・嫉妬、更に、そもそも小さな子供が二人居る時にどうやって子供を世話するかということです。
例えば、次のようなシチュエーションを考えてみてください。
5歳の花子ちゃんと3歳の太郎君という2人のきょうだいがいるとします。
3歳の太郎君が居間のソファーのクッションで家を作っていたとします。そこへ花子さんがやってきて、「私はもっと上手に作れるよ!」と言って太郎君が作ったものを壊してしまいました。それで太郎君は怒って、花子さんの部屋に行って花子のレゴの飛行機作品を壊してしまいました。
一見するとよくあるきょうだい間のちょっとした喧嘩に見えますが、実は二人の心には、太郎君が生まれてから抱える複雑な気持ちがあります。
まず、長子である花子さんはどうでしょうか。花子さんは生まれてから両親や祖父母の愛情を一心に受けてきました。そこへ新しい赤ちゃんである太郎君が誕生し、両親や祖父母の愛情は関心は太郎君に移り、子供の心にとっては大変なショックでした。
他方、太郎君はどうでしょうか。太郎君にとっては、生まれたときから花子さんがいて、花子さんのほうが体も大きく良く喋れて、自分に出来ないことを何でもできてしまう。両親も花子さんにだけより多くのジュースを注いだりして、花子さんを特別に扱っているようで、嫉妬心も持ち合わせている。ところが、幼い太郎君には状況が理解できず、自分の気持ちを言語化するスキルも持ち合わせていない。
このように、実は、多くの親が思っているよりも複雑な感情やコンテクストがあるのです。
この例では幼少のきょうだいについてですが、出生順の問題は、就学期に入っても大人になっても尾を引くことが多いです。
これから何回かに分けて、出生順別に子供がどういったメリットを享受しチャレンジに直面するのか、きょうだい間での出生順が子供の発達に与える影響と、親ができること・知っておくべきことについてお話しします。
この記事のシリーズ:
第一子として生まれることのメリットとチャレンジ、そして親ができる3つのこと
下の子供が生まれたときに第一子が直面するチャレンジに、親としてどう対応するか
参考文献:Meri Wallace著「Birth Order Blues」