前回の記事で、最近の特にネット上でのフェイクニュースについて、アメリカ大統領選挙の事例に即しこの記事では、フェイクニュースの見分け方についてお話しします。
どのようにすれば、私たちはフェイクニュースと正しい情報を見分けられるのでしょうか。
1.信頼できる発信者が、正しい情報源を正しい文脈で使っているか
まずは、その記事(あるいは動画でもポッドキャストでも)の情報源や発信者を精査することです。また、「この発信者の情報だから安心」と過信することなく、きちんとその情報の中身を確認することです。
また、仮に事実を伝えていたとしても、違った文脈で伝えられると、その情報源の本当の意図や真実とは異なった形で受け取られることもあります。
また、情報源が誤った形で伝えられると、その記事自体も信ぴょう性が低くなってしまいます。
例えば先日、「トランプ大統領はアメリカの経済政策に偉大な功績を残し、これをニューヨークタイムズも認めている」と主張するオンライン上の情報を散見しました。
情報元をたどってみると、そのオンライン情報が参照していたのは、ニューヨークタイムズのコラムでした。そのコラムはトランプ政権下での経済政策の一つの側面に焦点をあて、自身の支持者の意向を反映するために共和党内の経済政策のスタンスに影響を与えたことや、外部の識者がどのような意見を言っているかを議論を論じたもので、トランプ政権での経済政策を包括的にチェックしたり論じているものではないです。
ニューヨークタイムズはリベラル系の新聞メディアですが、多くの独立したコラムニストを抱えていて、コラムニストが自分の名前を出してコラム記事を書いています。コラムニストが書いたことがニューヨークタイムズの見解ではないことは、ニューヨークタイムズ社も明言しています。実際、複数のコラムニストが多様な主張を繰り広げているのが、ニューヨークタイムズを読む醍醐味でもあります。
したがって、そのオンライン上の情報は、フェイクニュースとまではいかなくても、ミスリーディングであると言わざるを得ないです。
2.ソーシャルメディア(SNS)で流される情報だけを自分の情報源としないこと
さらに、ソーシャルメディアだけから時事情報を取るというのは、フェイクニュースを受け取ってしまう可能性が高まってしまいます。
Facebookのニュースフィードなどで入ってくるニュースは、私たちが好むような情報を選別しているのです。従いまして、私たち自身の考えとか好みやバイアスに沿うような記事を目にするようになります。
また、インターネット上では、誤った情報を含む記事や動画は、正しい情報を含む記事や動画よりも拡散されやすいです。
例えば、SNSが世界中に普及するなかで、英語で「Go viral」という言葉が出てきました。「This video quickly went viral」という風に使われ、動画や情報がSNSで拡散され瞬く間に多くの人に届けられます。
ですが、ネットで拡散されて多くの人が信じているからといって正しい情報とは限らないことに注意する必要があります。
3.タイトルだけでなく、中身も精査
さらには、タイトルだけではなくて中身をきちんと読んで精査することです。インターネットの時代ではどうしてもタイトルで人を惹きつけることが重要であるため、タイトルは非常にキャッチーで扇動的なものであることもあります。
多くの方が、「タイトルはすごいけど、中身は別のことが書かれていてミスリーディングだ」という経験がおありだと思います。
このように、SNSやインターネットで情報が拡散される昨今、正しい情報を得られるよう気を付けたいものです。(私も、今後、情報発信する際には、情報源を出すよう心がけたいと思います。そこで、下記に、今回の参考文献を載せておきました)
参考文献:
私が今回この記事を書くにあたって参考にした記事を載せておきます。
最初の2つはPsychology Todayというアメリカで非常に信頼されているサイトで、心理学の知見を活かして現代人の人生をより良いものにすることや、心理学の観点から社会現象を解説することに特化しています。Psychology Todayは私も良く読むメディアの一つで、良質な記事が多いです。もう一つは、玉川大学からのサイトではありますが、その情報源になっているのは国際図書館連盟(IFLA)という国際的な機関のものです。最後の記事は、上記のNYTのコラムです。
https://www.psychologytoday.com/us/blog/social-dilemmas/201711/how-spot-fake-news
https://www.tamagawa.jp/correspondence/about/column/detail_17492.html
https://www.nytimes.com/2020/10/24/business/economy/trump-economy-manufacturing.html